特定母樹ヒノキの採種 2024.10.21.
花粉が少なく、成長の早い「特定母樹」ヒノキの種取りしました。
今季も自然着果で昨年よりも多く採れ、陰干ししています。
苗畑の隅に植栽している少花粉スギの原種・4種類です。
現在、京都府がこの4種を主に採種園を造成されて、今年の秋から種子の提供が始まる予定です。
写真では判りにくいのですが、4種を3回繰り返しで植えています。
左から3番目が明らかに成長がいいです。これは、鳥取の八頭8号と言う品種。その他は石川県由来の品種。
京都府由来の原種がない、のがまずもって不安です。制度的には「育種区が同じなので、大丈夫だ」ということらしいです。
また、八頭8号は、3倍体で、所謂「暴れ木」です。かつて良質材生産を目指して育林する際には、真っ先に除伐されるべきモノです。実際、観察すると、曲がりながら成長するし、写真のように雌花がジベ処理しなくても勝手に着果します。
今は、国が推奨している花粉症対策品種を植えれば補助金は多くなり、恩恵は多々あろうかとは思います。
ただ、今後何十年か後に振り返ると、京都のスギの林相が大きく変化していく大きな転換点になる気がしてなりません。
最後に、国は「花粉症対策品種でないと将来、補助対象にしない方向である」と承知しています。
弊社では、京都府さんから花粉症対策品種の種子の提供を受けて、そのスギ苗木を生産していくつもりではあります。一方、当地で地域実生品種として永い年月をかけて選抜されてきた母樹の子供林から採種した品種のスギ苗木も並行して供給させていだきます。
いずれのご要望にもお応えし、お客様と共に観察・試行しながら育苗を続けて参りたいと思っております。
特定母樹ヒノキの採種園を造成するため、一年前に原種を植え付けし、一年経過した様子です。
成長は、さすがによく伸びるものを選んだだけあって、一年目にしては極めて順調で、どれも1m以上はあります。
気になるのは、なんとジベ処理も何もしていないのにもう雌花が着いている種が多いことです。
育種場から9品種を分譲してもらいましたが、ざっと1/3以上は着果しています。
弊社と同じく特定増殖事業者としてこれを育成している同業者さんからは、「勝手にタネ付けますよ~」と聞いてはいましたが、やはりと言う感じです。
成育も順調で、また、苗畑の一画に植えているので環境条件が厳しいので着果したとは思えないのですが、着果しやすいのは遺伝からなのか環境からなのか、今後の様子を注視して観察していくつもりです。
京都府森林技術センター様の採種園から採った種子を購入し、抵抗性アカマツ・クロマツとして苗木を提供しています。実生ですので、「必ず松枯れにはならない」ことはありませんが、一般のものよりは強いとお考えください。
同センターから分けていただいたマツノザイセンチュウを苗木に接種して、一般種との比較を行っています。興味のある方は、お問い合わせください。
ただ、抵抗性が高くなると、写真のように輪生枝の数が多くなり、樹形によくない影響が出たり、種をつけにくくなる(稔性が低くなる)傾向になるということがわかっているようです。ある一面だけで育種を進めるのは、林木という超永年作物にとってはやはり危険性をはらんでいるようです。
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